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高松地方裁判所 平成3年(わ)94号 判決

本店の所在地

香川県仲多度郡仲南町大字佐文八〇一番地の一

日本工機株式会社

(右代表者代表取締役 古川喜士一)

本籍

同県善通寺市生野町二四七一番地

住居

同市生野町一七八五番地の二

会社役員

古川喜士一

昭和七年九月一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官冨田益行、主任弁護人植木修一、弁護人松本修二(いずれも被告人両名に対する関係)各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人日本工機株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人古川喜士一を懲役一年六月に処する。

被告人古川喜士一に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日本工機株式会社(以下「被告会社」という)は、肩書地に本店を置き、門扉等の製造、販売を営む株式会社であり、被告人古川喜士一(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、製品売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六〇年一〇月一日から同六一年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億九三八〇万三三〇四円で、これに対する法人税額が八一三四万六七〇〇円であったにもかかわらず、同年一二月二六日、香川県丸亀市大手町二丁目一番二三号所在の丸亀税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度における所得金額が九六九八万二九〇八円であって、これに対する法人税額が三七二三万八五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第三六号の1)を提出し、もって不正の行為により、前記正規の法人税額と申告税額との差額四四一〇万八二〇〇円を免れ

第二  昭和六一年一〇月一日から同六二年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億五〇四万八五九一円で、これに対する法人税額が四一八一万六一〇〇円であったにもかかわらず、同年一一月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度における所得金額が六一四一万三八二七円であって、これに対する法人税額が二〇三三万八五〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書(平成三年押第三六号の3)を提出し、もって不正の行為により、前記正規の法人税額と申告税額との差額二一四七万七六〇〇円を免れ

第三  昭和六二年一〇月一日から同六三年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が九五九〇万六一一〇円で、これに対する法人税額が三七八九万一〇〇〇円であったにもかかわらず、同年一一月二八日前記税務署において、同税務署長に対し、前記事業年度における所得金額が六一八八万三二六九円であって、これに対する法人税額が一九九四万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第三六号の4)を提出し、もって不正の行為により、前記正規の法人税額と申告税額との差額一七九四万七九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官(平成元年一一月八日付け、同月九日付け、同月一〇日付け、同月一四日付け、同年一二月二〇日付け、平成二年二月一九日付け二通、同月二〇日付け、同年三月七日付け、同月一六日付け)に対する各供述調書

一  被告人作成名義の上申書二通

一  関俊晴の大蔵事務官に対する平成二年一月一二日付け、同年二月一四日付け及び同年三月一六日付け各供述調書

一  増田禎良の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  兼近隆晴の検察官に対する供述調書

一  宮武正己の検察官(平成三年三月一九日付け)及び大蔵事務官(平成元年一一月一〇日付け、平成二年一月一二日付け)に対する各供述調書

一  高橋芳幸の大蔵事務官に対する供述調書

一  川上正平作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  矢野公重作成の「日本工機株式会社の製品購入について」と題する書面

一  大蔵事務官中岡俊一作成の簿外利益調査書、製品売上高調査書、部材売上高調査書、期首製品棚卸高調査書、期首材料棚卸調査書、当期仕入高調査書、期末製品棚卸高調査書、期末材料棚卸調査書、期末半製品棚卸高調査書、期末棚卸調査書、(製造原価)給料及び手当調査書、(製造原価)賞与調査書、(製造原価)福利厚生費調査書、(製造原価)接待交際費調査書、(製造原価)修繕費調査書、(製造原価)通信費調査書、(製造原価)クレーム処理費調査書、(製造原価)減価償却費調査書、(製造減価)雑費調査書、(一般管理費)賞与調査書、(一般管理費)福利厚生費調査書、(一般管理費)旅費交通費調査書、(一般管理費)接待交際費調査書、(一般管理費)会議費及び会費調査書、公租公課調査書、支払手数料調査書、(一般管理費)減価償却費調査書、(一般管理費)雑費調査書、受取利息調査書、受取配当金調査書、雑収入調査書、棚卸評価損調査書、割引料調査書、損金の額に算入した県民税利子割調査書、交際費損金不算入額調査書、その他所得(損益計算書科目)調査書、現金調査書、普通預金調査書、定期預金調査書、通知預金調査書、受取手形調査書、投資有価証券調査書

一  被告会社の商業登記簿の謄本二通

判示第一、第二の各事実につき

一  大高久昌の大蔵事務官(平成二年一月二三日付け)及び検察官に対する各供述調書

一  高木良明作成の「日本工機株式会社の製品購入について」と題する書面

判示第二、第三の各事実につき

一  被告人作成の平成二年一月三一日付け「申述書」と題する書面

一  関俊晴の検察官(平成三年三月二三日付け、同月二六日付け二通、同月二八日付け)及び大蔵事務官(平成元年一一月七日付け、同月八日付け、平成二年一月一七日付け、同月二四日付け、同月三一日付け)に対する各供述調書

一  関俊晴作成の「日本工機株式会社の製品購入について」と題する書面

一  高橋恒夫及び合田兼三(平成三年三月二七日付け)の検察官に対する各供述調書

判示第一の事実につき

一  矢野公重の検察官に対する供述調書

一  大高久重の大蔵事務官に対する平成元年一一月一一日付け、同月一六日付け、同月二八日付け各供述調書

一  大西優、大西清一及び高岡政典作成の「日本工機株式会社の製品購入について」と題する各書面

一  大蔵事務官中岡俊一作成の脱税額計算書(昭和六〇年一〇月一日~昭和六一年九月三十日分)

一  押収してある法人税確定申告書(平成三年押第三六号の1)

判示第二の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する平成二年一月一七日付け供述調書及び同人作成の同日付け「申述書」と題する書面

一  関俊晴(平成元年一二月二〇日付け)、大高久昌(同年一一月二二日付け)、高橋恒夫(同年一一月一五日付け、同月二一日付け)、宮武正己(平成二年一月十七日付け)、谷口友英、藤野好幸及び小林繁春の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官中岡俊一作成の脱税額計算書(昭和六一年一〇月1日~昭和六二年九月三〇日分)

一  押収してある法人税確定申告書(平成三年押第三六号の3)

判示第三の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する平成二年一月一九日付け供述調書

一  宮武正己の検察官(平成三年三月二〇日付け)及び大蔵事務官(平成二年一月一九日付け、同月二九日付け、同月三〇日付け)に対する各供述調書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  合田兼三の検察官に対する平成三年三月二九日付け供述調書

一  関俊晴(平成元年一一月一〇日付け)、高橋恒夫、(同月一七日付け)及び田村由美子の大蔵事務官に対する各供述調書

一  中村征郎(二通)及び菱谷益太郎作成の「取引内容照会に対する回答」と題する各書面

一  大蔵事務官中岡俊一作成の脱税額計算書(昭和六二年一〇月一日~昭和六三年九月三〇日分)

一  押収してある法人税確定申告書(平成三年押第三六号の4)

(法令の適用)

被告人の判示第一ないし第三各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、右各違反行為は、被告会社の代表者である被告人が、被告会社の業務に関してなしたものであるから、同法一六四条一項により、被告会社に対して同法一五九条一項所定の罰金刑を科することとし、いずれも情状により同法一五九条二項を適用し、被告人については各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、各被告人につき以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金額の合算した金額の範囲内で罰金二〇〇〇万円に、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人に対し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 野口賴夫)

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